ヒーター回路が確定したら、今度は電力増幅部とスピーカーが正常なのか確認します。

シャーシ上部にバリコンやコイルを取付け。前面には再生用のミゼットバリコン、音量調整用のボリュウムも取り付けます。

シャーシ内部にアンテナコイル。このコイルの一次側二次側、ホット、コールド側が分かりづらく、分解前に撮っておいた写真を頼りになんとか確定。まぁ、違ったら入れ替えて、あれやこれやと試してみましょう。

で、電力増幅部だけ組み立て、入力側にCDプレーヤーからの信号を入れてみると・・・おお、音が出るではありませんか。このスピーカー、現代のダイナミックスピーカーとは違い戦前のマグネチックスピーカーですが、思ったよりいい音がします。

後は全部組み上げていきます。CR類は全て新品に交換します。ボリウムも新品に。

さて、完成です。恐る恐るスイッチ、オン。

ここで問題発生。このバリコンのアース端子が引っかかって完全に回りきらないことが判明。端子のはんだ付けの位置やリード線の取り出し方向をいろいろ変えてようやく180度回転することができました。この状態、もともとあった様で、この不具合、戦前からあったのではと思います。

もう一つ、ミゼットバリコンのガタがなかなか治まらず、一次側と二次側の羽が時々接触します。このミゼットバリコン、今は販売されていないので、どうしても現物を再利用するしか手はありません。

まだ接触しています。
何度か細い番線を巻き付けなんとか接触回避。このバリコンには検波回路の真空管のプレートが接続され、それが接触するという事は高圧がショートするという事でとても危険なので、プレート側にコンデンサを一つ挿入しておきました。これで安心安心。

さて、アンテナをつなぐと、おお、放送が聞こえます。テストオシレーターで受信範囲の確認をすると、低い方は530KHz、高い方は1500KHzくらいの受信範囲です。当時の放送波はこれくらいの範囲だったのでしょう。今では地方によっては1600KHzくらいで放送しているので、そんなところで聴くのなら要調整ですね。

この放送局型ラジオは再生式という方式でスーパーラジオのように複雑な調整箇所がありません。高周波段と検波段の同調周波数を合わせます。

とりあえずこれでシャーシ部分は完成。ダイヤルメモリを取付け。このラジオ、放送局型123号という、戦前の統一規格のラジオです。

パイロットランプも取付け。

箱の内部も清掃。よく見ると虫に食われた跡があるので、殺虫剤も染み込ませました。

箱の左の黒い丸い部品は電源スイッチなのですが、完全に壊れているのでスイッチはボリウム連動のものに配線替え。

箱に入れるのにも結構手間どり、ダイヤルやボリウムの位置を確認しながらシャーシを固定し、最後にスピーカーを配線します。

ようやく完成、放送局型123号ラジオです。左の再生ダイヤルで感度を調節しながら選局します。再生をかけすぎるとよくテレビドラマで戦時中の家庭の再現でラジオから「ピー」という音がしていましたが、そんな感じです。

戦前、戦中のラジオです。これで玉音放送を聴いた人がいるのでしょうか。

このラジオ、意外と感度がよくて、床にはわせた5メートルくらいのアンテナでも、夜は大阪や広島の放送局も受信できます。戦時中は放送の受信に制限が掛けられていたはずなのですが、これなら韓国や中国の放送も聞こえてきそうです。
さあ、これでかのノーベル賞受賞者と同じ足取りをたどりました。これでノーベル賞は確実で、今年の10月の発表が楽しみです。
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